格闘技では構えによってオーソドックスとサウスポーにファイトスタイルが分けられます。
1.オーソドックス:右手を後ろに構えるファイトスタイル
2.サウスポー:左手を後ろに構えるファイトスタイル
一般的には左利きであるサウスポーが有利と言われますが、実際の勝率はどうなっているのでしょうか。
「サウスポーって本当に有利なの?」
「どうしてオーソドックスより有利に戦えるの?」
本記事ではそんな疑問が解消できるよう400試合を分析し、サウスポーの勝率を統計的に分析しています。
分析の方法

今回はオーソドックスの選手とサウスポーの選手が対戦した400試合を分析しました。
勝率はもちろん、KO率も計算しています。
また選手の中にはオーソドックスとサウスポーの構えを切り替えるスイッチヒッターというタイプの選手もいますが、今回は除外して分析しています。
小数点以下は四捨五入し、分かりやすい数値で表記しました。
それでは早速結果を見ていきましょう。
分析の結果

いかがでしょうか。
サウスポーの方が有利であることが数字でも表れていました。
勝率の差としては約10%の違いがあり、オーソドックスの勝率と比較して1,2倍ほどになっています。
決定的な差とは言えませんが、サウスポーの選手の方が有利であることが分かりますね。
そして面白いのがKO率に大きな差が出たことです。
勝率はサウスポーの方が高いにもかかわらず、KO率はオーソドックスの方が高い数値を示していますね。
逆に言えばサウスポーはオーソドックスの選手に勝ちやすいけれど、判定勝ちが多いということになります。
サウスポーの選手の方が有利であることは一般的にも知られていることですが、KO率に差が出ることは今回の分析で初めて判明したように思われます。
なぜサウスポーの方が有利なのか

サウスポーの選手はオーソドックスの選手に対してなぜ有利に戦えるのでしょうか。
一般的には以下2つの理由が言われています。
1.サウスポーの選手が少ない
2.レバーに強打を打てる
サウスポーの選手が少ない
日本人の11%が左利きと言われており、格闘技界でも当然サウスポーの選手の方が少ないです。
オーソドックスの選手からするとサウスポーと対戦する機会は少なく、対策がしずらい側面があります。
反面サウスポーの選手はオーソドックスと頻繁に対戦するため、有利に戦うことができると言われています。
格闘技において利き手の違う選手同士では、距離感が全く異なります。
なれない距離感で戦うと、自分の攻撃を当てることが難しくなります。
場数の踏みやすいサウスポーはオーソドックスよりも有利な距離感で戦えるというわけです。
ちなみにK-1選手188名の構えを調べたとこと、約17%がサウスポーでした。
日本全体の11%よりも割合が多いのも、サウスポーの選手が勝ち残りやすいからかもしれません。
また多いといっても17%なので、対策しづらいというサウスポーの利点は変わらなそうです。
レバーに強打を打てる
人体の急所はいくつかありますが、なかでもレバー(肝臓)は体の右側にしかついていません。
サウスポーの選手はレバーを利き手・利き足で狙うことができるため、大きなアドバンテージがあります。
ちなみにコンバーテッドサウスポーと呼ばれる右利きのサウスポー選手もいますが、基本的には左利きの選手がほとんどです。
人体の構造上、サウスポーが有利になるというわけです。
KO率に差が出た理由

サウスポーのKO率が低い明確な理由は分かっていませんが、おそらく距離感が影響していると思われます。
前述した通り、オーソドックスの選手にとってサウスポーの選手は距離感が測りづらく、自分の攻撃を当てるのが難しくなります。
そのためサウスポーの選手が長所を生かすならば、接近戦をせずに距離を取って戦うことになります。
両者の攻撃が当たる接近戦まで行くと、せっかくのサウスポーの利点が消えてしまうからです。
そのためサウスポーの選手が勝利する場合はKOが発生しやすい打ち合いの接近戦になりにくく、逆にオーソドックスの選手が勝利する場合は距離を詰めてKOできる場合が多いというわけです。
もちろん距離を取らずに接近戦を好むサウスポーもいますが、全体としてはKO率が低くなっていると思われます。
これはあくまで一説ですので、他にもKO率が低い理由があるのかもしれません。
まとめ
いかがだったでしょうか。
勝率はサウスポーの方が高いものの、KO率はオーソドックスの方が高い数値を示していました。
勝率とKO率で逆の結果が出たのは意外でしたね。
一般的にサウスポーの方が有利と言われていますが、数字で見ても同じ結果が表れていました。
他にも格闘技を統計的に検証している記事を書いているので、気になる方はぜひチェックしてくださいね。