格闘技を視聴していると、「ムエタイ」や「キックボクシング」という名前をよく聞きます。ほとんど同じもののように扱われることすらある2競技ですが、歴史やルールなどそれぞれ異なる点がいくつもあります。
「ムエタイとキックボクシングって何が違うの?」
本記事ではそんな疑問が解消できるように両者の違いを分かりやすく解説していきます。
ルールの違い

ムエタイとキックボクシングの違いを語る上で一番分かりやすいのがルールの違いです。
一見すると違いの分からない両競技ですが、使用してよい技が違ったりと細かいところで違いがあります。
さっそく見ていきましょう。
「技」の違い
ムエタイを特徴づける技として、「首相撲」と「肘打ち」が挙げられます。
首相撲は別名クリンチとも呼ばれ、首の後ろに手をまわして相手をコントロールする技です。
肘打ちは相手に肘を打ち付ける技で、骨の硬い部分を使用するため危険度が高い側面もあります。
ムエタイではこれらの技が使用可能で、キックボクシングでは使用が禁止されています。
しかし注意しなければならないのが、キックボクシングでも団体によってはこれらの技が認められる場合もあるということです。
例えば日本のKNOCK OUTという団体では肘打ちが有りのルールと無しのルールがあります。
なので厳密にいえばムエタイだけの技ではないのですが、両者の違いを説明する際にはよく引き合いに出される技です。
またキックボクシングには空手やボクシングの要素も含まれているため、ムエタイよりも技が多彩な印象です。
空手由来の胴回し回転蹴りや、ボクシング由来のパンチテクニックなどはムエタイには見られません。

「採点基準」の違い
フルラウンド戦って決着がつかない場合は判定で勝敗が決まりますが、ムエタイとキックボクシングでは採点基準も大きく異なります。
キックボクシングが「ダメージ」「有効打」など強さが採点の基準になるのに対し、ムエタイでは「的確さ」「力強さ」など技の美しさが判定の基準になります。
重要視されているポイントが違うからこそ、試合中の選手の動きも異なります。

試合展開の違い

ルールの違いから、ムエタイとキックボクシングでは試合展開も大きく異なります。
■ムエタイ
ムエタイではミドルキックやハイキックが高得点なのに対し、パンチは低い得点しかもらえません。
そのため構えも蹴り技が出しやすいように後ろ足に重心を置きます。前足でリズムをとる独特なフォームはムエタイの大きな特徴です。
その結果蹴りの展開が多く、パンチはあまりありません。全体としてKOはあまり多くない印象です。
■キックボクシング
対してキックボクシングは空手やボクシングの要素も含まれるため、ムエタイと比較して様々なファイトスタイルの選手がいます。
パンチ主体で戦う選手もいれば、それこそムエタイのように蹴り主体で戦う選手もいます。
ムエタイと比べてもKOが多く、盛り上がる試合展開が多い印象です。

歴史、ルーツの違い

■ムエタイ
ムエタイは400年の歴史をもつ伝統的な格闘技です。
タイではメジャーなスポーツで、国技にも認定されています。長い歴史の中で世界的な認知も進んでおり、「立ち技最強」の称号を欲しいままにしています。
ラジャダムナン・ルンピニーという2大スタジアムがあり、ここでチャンピオンになることが最も権威あることとされています。
またムエタイの試合は賭けごとの対象となることでも有名です。
■キックボクシング
キックボクシングは「打倒ムエタイ」を掲げて1966年に日本で誕生した格闘技です。
ムエタイに比べると歴史が浅いですが、その分柔軟で団体によって細かいルールが異なるのも大きな特徴です。
旧K-1は世界的にも非常に有名で、海外ではキックボクシングをすることを「K-1をする」と言うほどです。
現在では海外のGLORYという団体が世界最強と言われています。

ムエタイとキックボクシングの試合映像
ここまで言葉でムエタイとキックボクシング違いを説明してきましたが、やはり「百聞は一見に如かず」です。
より詳しく違いを知りたい方はぜひ動画もご覧ください。
実際に視聴すると違いが明確に分かるので面白いですよ。
ムエタイの試合
キックボクシングの試合
まとめ
いかがだったでしょうか。
一見よく似ているムエタイとキックボクシングですが、ルールや歴史など異なる点が沢山ありました。
日本でムエタイを視聴することは多くないと思いますが、キックボクシングにもムエタイ選手がよく出場します。
ムエタイの特徴も知っておくと、キックボクシングの試合もより楽しめますよ。
この記事は少しでも参考になれば幸いです。
以上、ムエタイとキックボクシングの違いについてでした!